AIを仕事に使いたい。でも、何から任せればいいのか分からない。
ひとりで事業をしていると、受注、発送、問い合わせ、商品ページ、仕入れ、経理、SNSと、やることが細かく散らばっています。どれもAIで少しは楽になりそうに見えるし、どれも結局は自分でやるしかない気もする。
そういうときは、AIで何ができるかを調べる前に、自分がふだん何に時間を使っているかを先に書き出してみるほうが早いと思います。そのうえで、書き出した作業をAIに仕分けてもらう。自分は文章の仕事をClaudeに頼ることが多いので、ここではClaudeを例に、その頼み方を整理します。ChatGPTやGeminiでも同じやり方が使えます。
「AIで何ができるか」より先に、自分の作業を書き出す
AIの活用法を調べると、たくさんの使い方が出てきます。ただ、それを読んでも、自分の仕事のどこに当てはまるかは自分で考えるしかありません。
順番を逆にすると、考えやすくなります。
- 自分の1週間の作業を書き出す
- それをAIに渡して、任せられそうなものを仕分けてもらう
- 仕分けの結果を見て、自分で直す
- 1〜2個だけ選んで試す

AIに「何に使えばいい?」と聞くのではなく、「この中でどれを任せられそう?」と聞く。材料が自分の仕事なので、出てくる答えも自分の仕事に近いものになります。
1週間の作業を書き出す(きれいにまとめなくていい)
まずは、思い出せる範囲で作業を並べます。メモ帳でも、スマホのメモでもかまいません。
1つの作業につき、次の4つが分かれば十分です。
- 作業名(例:問い合わせメールの返信、商品ページの文章を直す、売上の集計)
- どのくらいの頻度か(毎日、週1回、月1回など)
- 1回あたり、だいたい何分か
- 自分の判断が必要か(値段を決める、お客様に何を約束するか、など)
時間は正確でなくて大丈夫です。「たぶん20分くらい」で十分です。
書き出すときに気をつけたいのは、お客様の名前、取引先の会社名、注文番号などを書かないことです。作業の種類が分かればいいので、「A社への発注」ではなく「仕入れ先への発注」のように書いておきます。
Claudeに仕分けてもらう頼み方(そのままコピーして使えます)
書き出したら、Claudeに渡します。カッコの中と作業リストを書き換えて使ってください。
ひとりで事業をしている者です。下の「作業リスト」を、AIの使い方で4つに仕分けてください。
仕分け:
A:AIに下書きを任せて、自分は確認するだけでよさそうな作業
B:AIに材料や案を出してもらい、判断は自分でする作業
C:AIを使わず、自分でやったほうがいい作業
D:AIより、テンプレートや自動返信、ツールの設定などの仕組みで減らせそうな作業
条件:
・表にする。列は「作業名/仕分け/理由/AIに頼むなら最初の一言」
・理由は1行で、具体的に書く
・お金、お客様への約束、法律や契約がからむ作業は、Aにしない
・リストに書かれていないことは推測しない。判断に迷うものは「要確認」と書き、何が分かれば判断できるかを添える
・最後に、「頻度が高く、時間がかかっていて、Aに入るもの」から、最初に試すとよさそうな作業を2つだけ選び、理由を書く
私の仕事:
(例:ネットショップをひとりで運営。商品の仕入れ、商品ページの作成、受注・発送、問い合わせ対応をしている)
作業リスト:
・(作業名)/(頻度)/(1回あたりの時間)/(判断が必要かどうか)
・(作業名)/(頻度)/(1回あたりの時間)/(判断が必要かどうか)
・(作業名)/(頻度)/(1回あたりの時間)/(判断が必要かどうか)
この頼み方でいちばん大事なのは、Dの「AIより仕組みで減らせそうな作業」を入れていることです。

AIに仕分けを頼むと、ほとんどの作業に「AIでできます」と答えが返ってきやすくなります。でも、毎回同じ文面を送っているだけの連絡なら、AIで毎回文章を作るより、テンプレートを1つ作っておくほうが早いこともあります。AIを使うこと自体を目的にしないための仕分けです。
表をExcelで受け取りたいとき
仕分けの結果を手元に残しておきたいなら、最後に「この表をExcelファイルにしてください」と付け足す方法があります。
Claudeの公式ヘルプによると、ExcelやWord、PowerPoint、PDFのファイル作成は、無料プランを含むすべてのプランで使えます。無料・Pro・Maxプランでは、「設定」→「機能」の「コード実行とファイル作成」がオンになっている必要があり、初期設定ではオンになっていると案内されています。
仕分けの結果は、理由を聞いてから直す
出てきた表は、そのまま採用しないほうがいいと思います。
AIは、作業名と短いメモしか知りません。たとえば「商品ページの文章を直す」がAに入っていても、自分の店では商品の細かい仕様を自分しか知らず、Bのほうが合っている、ということは普通にあります。
違和感があるものは、そのまま聞き返します。
「(作業名)」をAにした理由を、もう少し詳しく教えてください。
私の場合、(例:商品の仕様は自分しか把握していない)という事情があります。
これをふまえて、仕分けを見直してください。
このやり取りの中で、「この作業のどこが自分にしかできないのか」が言葉になってきます。実はそこがいちばんの収穫かもしれません。
AIに任せにくい作業の目安
仕分けを見直すときの目安も書いておきます。次のような作業は、AIにはBかCまでにしておくのが無難です。
- お金が動く作業(値付け、返金、支払い、見積もり)
- お客様や取引先に何かを約束する作業
- 法律、契約、税金がからむ作業
- 管理画面の設定など、実際の画面を見ないと分からない作業
最後の点は、自分でも思い当たることがあります。以前、運営しているネットショップで、注文の配送方法がこちらの意図と違うものになっていたことがありました。最初は受注管理のシステム側を疑ったのですが、原因はモール側の配送設定でした。こういう「どこの設定がおかしいのか」は、AIに聞いて考え方の整理はできても、最後は自分で実際の画面を見て確かめるしかありません。
反対に、AIに任せやすいのは、文章の下書き、長い文章の要約、表の整理、言い回しの案出しのような作業です。自分の場合、ブログの下書きや返信文の下書きといった文章まわりは、Claudeに頼ることが多くなっています。
選んだ作業は、手順書かプロジェクトにしておく
仕分けが終わったら、最初に試す作業を1〜2個だけ選びます。全部を一度に変えようとすると、どれも中途半端になりがちです。
選んだ作業を毎回同じように頼むなら、Claudeの「プロジェクト」にまとめておくと楽になります。公式ヘルプによると、プロジェクトは無料アカウントでも使え(無料は5つまで)、プロジェクトごとに指示と資料を設定できます。たとえば「問い合わせの返信」というプロジェクトに、店のルールや返信の条件を入れておく、という使い方です。
作業そのものを手順書にしておきたい場合は、こちらの記事で頼み方を書いています。
作業リストを渡す前に、ひとつだけ確認しておくこと
作業リストは、自分の仕事の中身そのものです。お客様や取引先の名前を書かないことに加えて、入力した内容がAIの学習に使われるかどうかも、一度確認しておくと安心です。
Claudeのプライバシーのヘルプによると、無料・Pro・Maxプランでは、「設定」→「プライバシー」にある「Help improve our AI models」(AIモデルの改善への協力)のオン・オフで、会話をモデルの改善に使うかどうかを選べます。
作業の棚卸しは、一度やって終わりではなく、仕事の中身が変わったときにやり直すくらいでちょうどいいと思います。まずは今週の作業を10個書き出すところから。仕分けの表より、書き出している途中で「これ、毎週同じことをしているな」と気づくことのほうが、案外多いかもしれません。

